燻製の魅力

製造の一コマ

■保存食としての燻製
古くヨーロッパ石器時代から保存技術として燻製(くんせい)の技術は使用されてきた。生肉を乾燥、燻製(スモーク)という工程を経ることにより、煙に含まれるフェノール類で殺菌作用が働く。スモークする事により肉の表面をコーティングして細菌の侵入、繁殖を防ぐという優れた効果がある。考えてみるとこの発想はスモーク・エースの原点の考え方だ。釣れすぎた魚をいかにして美味しく保存できるのか?そして薫製の技術に行きついたからだ。

 

■保存と水分活性の関係
燻煙によるコーティングで殺菌成分が肉に浸透しスモークされる肉などの対象物の水分量が減少し、さらに保存性が高まる。水分活性の低下に繋がるというわけだ。水分活性値とは食品中の水がどの程度束縛されているかを示す数値である。一定温度下の食品の水の蒸気圧を、同じ温度下の純水の蒸気圧で割った数値で表される。要は数値が高いほど自由水が多く,食品が劣化しやすいことを示す。スモークの工程では煙をコーティングさせる為に乾燥という工程を経ている。熟成の際の塩分と同様に保存性の向上に貢献している。単純明快に説明すると水分を除去すればするほど保存性が高まるということだ。

 


■過度な水分除去をすれば賞味期限は長くなる。
薫製の概念もなかった古代の知恵で、理にかなった保存食であるスモーク製品を食していたことは驚きだ。しかしながら時代は変わり、保存技術が発達し冷蔵庫のない家庭は少ない現代社会において燻製の役割は変化を遂げてきたと言える。保存食としての美味しさを残しつつ、水分の多いソフトでジューシーな食感を保ちながら腐敗を起こす微生物の活動をギリギリに押さえるレベルまで水分活性値を下げる。美味しさを無視すれば、過度に水分除去すれば賞味期限は伸びる。ただし私達の求める美味しさとは程遠いものになってしまう。販売することを考えなければ、スモーカーからだした釜出しをスライスして食す以上の美味しさはない。しかし加工品として流通する場合、熱殺菌も考えながら最大限の美味しさを保つこと。それがスモーク・エース流の加工品に対する考え方だ。

 

 

■煙のコーティングより黄金色に輝くという美しさ
生肉やチーズなどの固形物がスモークすることにより徐々に黄金色に輝いてくる様は圧巻だ。煙にコーティングされ、一番良い状態(水分活性が最適に行われている自分達の判断基準)で釜出しを行わねばならない。仕上がりを決めるのはスモークの時間と温度、湿度管理にあると言える。スモーク・エースの釜はドイツ製などの最新式ではなく、昔ながらの直下式で時間をかけてじっくり仕上げていくスタイルだ。日々の天候条件、特に湿度と季節によってスモークの具合が変わってくる。温度を下げてしまう為、釜を何度も開ける事はできない。職人の勘と想像した黄金色のイメージが一致した時に最高の燻製品が完成する。

 

■煙による食の魔術
素材が新鮮かつ収穫したばかりであれば、そのまま頂くことが最高の贅沢であり美味しさを味わえると思う。現代の燻製の魅力は単に保存食にとどまらない。燻製・スモークする事により素材を生かし、再生させ、新たな美味しさに変化させる事ではないかと思う。製造を終えると全身がスモークの煙に包まれ、衣服も燻されてしまう。それほど強烈な煙で燻すからこそ、肉の塊が黄金色に輝くスモーク製品へと変化する力を持っていると思う。全ての工程においてこのビジュアルイメージこそが私達の原点であり、変わらずに進化すべき大切な部分であると信じている。

 

 

【商品ページ】スモークソフトベーコン

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