パン屋 タルマーリーとの出会い

店長コラム

■ふとしたご縁からイベントを知ることに
穴井さん、岡山のパン屋さんタルマーリーが宮崎でイベントされるようですよ。パンで世界を変えるっていわれるほどの方です。時間があったら是非行ってみて下さい!高知県の尊敬するネット販売のパイオニア『南国土佐ドットコム』の井口先輩にそう言われたら行かざるを得ない。妻がパンを習っており、是非行きたい!と言ったので、久々に平日のランチタイムのイベントに参加することにした。

 

■RAWの店長さんは高知県出身

何やらワイルドなお店が出来たな・・・と前々から気になっていたRAWさんで11:00am~12:30pmまでタルマーリさんのパンへの想い+パン作りの講座(これは聞いてなかった。奥様方は真剣にメモを取っておられた)、そしてタルマーリのパンとロウのお料理を楽しむ会という構成だ。店主の渡邉夫婦は農学部を卒業し、農家になりたいと思っていたらしいが、パン作りに魅せられ東京の有名店で修業したらしい。東日本大震災を機に岡山の秘境(?)へと移住し、美味しいパンを造る為に日々製造に励まれている。

 

■震災を機に千葉から岡山へ移住する

震災以降のテーマが非常識だそうだ。非常識とは自由な発想のことで、同じでなくてはならないという発想は古いのではないか?と思うようになり酵母の使い時、自然酵母、天然菌、そしてエネルギーを伝えたいとおっしゃっていた。私達と同じく「想い」というキーワードが出てきた。エネルギーとは想いのこと。食の追求で世界が変わる=素材の追求。素材を作る(環境を守る)パン屋でありたい、そう語られていた。

 


■天然酵母のパンが並ぶ

砂糖を入れない無糖生地で作る天然酵母のパン。自然栽培の米と天然の麹菌を使い日本酒と同様の製法で作った甘酒のような香りのベーグルサンド。オーガニックレーズンを水に入れて培養した酵母液を、そのまま種として使用するレーズン酵母のパンの製造工程を実演頂いた。自然栽培の小麦粒を、石臼で自家製粉した全粒粉と、小麦粉、塩、水を培養して作ったライ麦パン。料理もボリュームがあったので、ライ麦パンを頂く頃にはお腹いっぱいになっていた

 


■土壌に関するお話し

渡邉さんの実家は福島にあり、土壌を通じて震災後の現状に対して熱い想いを持たれている。小麦は土壌のクリーニング剤という話しが心に響いた。農家が牛乳工場の近くの土壌で小麦を作ると小麦に牛乳の匂いが付く。そして小麦は土を柔らかくする。一緒に頑張ってきた千葉の小麦農家さんは震災後の汚染により断腸の思いで農地を手放したということだ。小麦が土壌をクリーニングしてしまったから。渡邉夫婦の住む岡山に移住し、小麦つくりをもう一度一緒にやろうと考えているらしい。

 


■想いで味は変わる

タルマーリーを辞めた従業員がいたそうだ。天然の麹菌を使ったパンを作る為に、見習いの子は毎日米をとぐのが日課だそうだ。ある日、その子が米をとがずに退社したので、怒りの声で呼び戻し米をとぐように命じたという。あからさまに嫌な顔をしながら米をとぎ、翌日退職したそうだ。すると、といだ米が腐るはずもないのに腐ってしまったという。そうか、気持ちよく仕事をしなければいいパンは作れない。楽しくパン作りをしなければいけない。改めてその事を感じたという。

 


■自由な発想と表現を

日本のパンは、世界のパンはこうでなくてはいけない。真面目に修業する日本人の気質から型にはまる事を好む傾向がまだまだ強い。その考えに違和感を覚えたそうだ。私達もこの世にない美味しい物を生み出したい。その気持ちで日々製造に励んでいる。もっと食を正しく。俺が一番美味しいと思い込んで。渡邉さんはその思い込みを手前味噌のススメと命名したそうだ。テクニカルな事より、このような話を聞くことが出来てとても嬉しかった。食の力は素晴らしい。私達も良い商品を生み出そう。そう思った清々しい午後のひとときだった。

 

パン屋タルマーリー

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